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日高見(ひたかみ) 平孝酒造  宮城県石巻市

- 震災を乗り越えた蔵 -

商品の設計が自分の仕事と語るのは、平井社長。銘柄別にコンセプトを持ち、「何をしたいのか」をしっかり考え、そのためにはどのような造りをしたらよいのか指示をするのが社長の仕事と、造りは杜氏に任せています。

 

 

- 希望の光 -

震災後、初めて出荷したお酒の裏張りを、ご紹介いたします。

平成23年3月11日(金)東北大震災で被災したお酒に命名しました。純米酒を中心に大吟醸や純米吟醸など、醗酵中のお酒が被害に遭いました。震災直後、仕込み蔵は地震の揺れの激しさから、醗酵中の醪(お酒)がタンクから溢れ、床一面、白い絨毯を敷き詰めたのかと、錯覚するような情景でした。溢れ出た醪は霧状になり辺り一面に立ち込め、蔵の奥が良く見通せない状況で、目の前の光景を疑いました。そして、溢れ出た醪が発生している音なのか、今までに聞いた事の無いような音が蔵内にこだまし、まるで醪の悲鳴のようにも聞こえ、何とも言えない恐怖感を覚えました。建物のいたるところが壊れ、立ち入る事が困難になり、同時にライフラインが寸断し、醗酵中のお酒の管理ができなくなってしまいました。何の手立ても出来ず、ただ、呆然と指をくわえて見守る日々が続きました。一週間が過ぎても復旧の目処が立たず、醗酵中の醪の全廃を覚悟しました。しかし、震災から二週間目、電気など一部ライフラインの復旧などが重なり、諦め掛けていた醪を、遂にお酒として甦えさせる日がやって参りました。ただ、放置している時間が余りにも長く、垂れ口から搾り出されるお酒の品質がとても心配でした。しかし、我々の心配をよそに、そのお酒はとても力強く生命力に溢れ、我々に元気と希望を与えてくれました。
本来の酒造りでは、如何に良いお酒を造ろうかと凌ぎを削りますが、このお酒からは普段の造りでは味わえない感動を貰いました。蔵のある宮城県石巻市はこの度の震災で、壊滅的な被害を受けました。勿論、弊社も甚大な被害を受けました。しかし、被災した石巻市の惨状を見た時に、弊社は本当に生かされたのだと、強く感じるほか有りませんでした。
普段の生活では感じ得ない、感謝の気持ちを強く痛感させられ、造り酒屋として何か地域に貢献する事は出来ないか、自然と、その様な気持ちが芽生えて参りました。そして、この気持ちを大切にしたいと考えるようになり、この被災したお酒を災害復興酒として販売し、少ない金額になりますが、売上金の一部を義捐金として、私達の住む石巻市に献金したいと考えております。また、我々が励まされた、このお酒を通じて、御愛飲頂く全ての方々に希望の光を送りする事が出来れば幸いに思います。